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2021年5月7日

首都圏新築マンションの割高感が加速

首都圏新築マンションの割高感が加速
 (株)東京カンテイは6日、首都圏における2020年の「新築マンションPER」を発表した。

 新築マンションPERとは、新築マンション価格が同じ駅圏の、築3年未満の分譲マンション賃料の何年分に相当するかを求めた値で、マンション価格の割高・割安を判断する一つの目安となる。対象は20年に発売された分譲マンションで、対象エリアは20年に供給のあった155駅(前年比29駅減)。

 首都圏の平均は、24.69(同0.30ポイント上昇)。専有面積70平方メートルに換算した分譲マンションの平均賃料25万6,601円(同2.6%上昇)に対し、新築マンションの平均価格は7,743万円(同6.0%上昇)だった。

 155駅のうち、マンションPERが24以上は53.5%(同6.8ポイント上昇)。22以上24未満が24.5%(同4.8ポイント低下)、20以上22未満が12.9%(同0.4ポイント上昇、18以上20未満が5.8%(同0.2ポイント低下)、18未満が3.3%(同2.2ポイント低下)となった。「近年、大手ディベロッパーの寡占化が進み、かつてはJR山手線内に集中していたマンションPER24以上の駅が、近郊・郊外エリアにも広がってきている」(同社)と、新築マンションの割高感が継続している。

 駅別のマンションPERが最も高かったのは、東急東横線「学芸大学」駅で36.00(価格1億2,402万円、賃料28万7113円)。東京都目黒区や世田谷区といった人気の住宅地においては、新築マンション価格が賃料見合いで割高になる傾向があり、同駅以外にも2位に小田急小田原線「成城学園前」駅(34.10)、4位に東急東横線「自由が丘」駅(33.40)などが上位にランクインした。3位はJR総武線「飯田橋」駅(33.55)。

 一方、マンションPERが低かったのは東京メトロ南北線「志茂」駅で16.96(同5,181万円、同25万4,616円)。同駅では駅近のコンパクトマンションから高賃料の事例が出てきており、近年はマンションPERが低下傾向で推移している。2位はJR中央線「八王子」駅(17.53)、3位はつくばエクスプレス「三郷中央」駅(17.60)だった。